イエティ・アルパインスクール専科 必要装備
下記装備は、通常の登山装備以外にアルパイン・クライミングで必要なものです。ザックやアプローチシューズ、衣類などの解説は入っていません。装備は季節により変動しますので、下記装備以外は随時お知らせいたします。
装備名末尾の◎印のものは、スクールで一括購入が可能です。定価の10〜20%割引でお分けする予定です。入校式6月6日&8日に参加の方は2〜3割引になります。
1.クライミングシューズ(ファイブテンなど) ◎実寸サイズをお知らせ下さい
1フラットソール
フラットソールの特徴は、柔らかなゴム底のフリクション(摩擦)が良く、そして登攀
中の爪先の感覚が素足に近いため、フットワークが良くなります。
2シューズの選び方
・形と材質
アルパインクライミング用なら、まず丈夫で、そして足にフイットしたものを選びまし
ょう。足型がメーカーによって違うので、靴底を比べると分かりやすいでしょう。靴底
のカーブ大きいものほどフリークライミング用です。アルパインクライミング向きの物
は、比較的直線的なもので、靴底も厚くなっています。
ただ、ルートがフリークライミング主体の場合は、靴底が薄く爪先感覚が優れている
ものがお勧めです。これはフリーのゲレンデの練習用としても良く、セカンドシューズ
として購入を考えて下さい。小川山、幕岩、城山、城ケ崎などはこれがお勧めです。
・サイズ
半日程度履いていることが多いので、薄い綿の靴下を付けて、履いていて痛くないもの
が良いでしょう。購入する際に注意する点は、踵を余らせずにぴったり付け爪先の指が
曲がってなく、ジャストサイズがベストです。初めて購入する人は、ほんの少し大きめ
のものをお勧めします。ただセカンドシューズ(フリークライミング時)は痛くない程度に、やや小さめのものが良いでしょう。
2.ハーネス(カンプ、マムートなど) ◎ 素肌のウエストサイズをお知らせ下さい
1種類
レッグループ(セパレート)式{Tシャツ+シャツ1枚程度でサイズを決めて下さい}
墜落した際でも横ずれが少なく、男性の急所にハーネスがあたらないため、クライミン
グの種類を問わず、このタイプのものが主流になっています。メーカーによってレッグ
ループの大きさが異なるので、購入の際は自分の太ももに合うかどうか必ず試着してみ
ましょう。ウエストベルトはやや幅広のものが良く、長時間ぶら下がっていても痛くな
いものが良いでしょう。
※レッグループも調節可能なものがありますが、これは冬期登攀の際でも、厚着をした上
にハーネスを装着できるようにしたものです。しかし、夏と冬では1サイズ(夏にSサ
イズなら、冬はMサイズです)大きめのものが必要ですので、夏と冬では別々のハーネ
スを使うべきでしょう。
3.ロープ(ダブルとシングル) エーデルワイス、マムートなど ◎
最近のロープは材質と編み方の研究が進み昔に比べると強度と柔軟性に優れ、墜落のシ
ョックをロープの伸びで吸収するように作られています。しかし、鋭い岩角や鋭利なもの
であっけなく切れてしまうので、取り扱いに気を付けましょう。長持ちさせるコツとして
泥や砂の汚れはきれいに水洗いし、乾かすときは直射日光を避け、陰干しにして下さい。
1長さ {受講生全員、50mを購入して下さい}
45mか50mが主流ですが、支点が確保できないことがある冬期登攀では50mロー
プをお勧めします。
2太さ {受講生全員、8.5〜9mmを1本}
基本的には8〜9mmのものをダブル(2本)で使用します。これは後に述べるロープの
流れの問題と、天候の急変や時間切れなどで登攀を中止し、懸垂下降する場合に、2本
のロープが必要になるからです。体重のある方は太いものをお勧めします。
3防水 {防水加工したものがお勧めです}
ロープに防水加工してあるものは、冬期登攀やアイスクライミングに有効で、濡れて凍
ったロープは重いだけでなく、確保器具を通すことができず、確保もできなくなってし
まうことがありますので、冬期には防水加工してあるロープを使いましょう。
4耐久性
一般的に月に1〜2度使用して、3〜4年と思われますが、使用回数をチェックするの
も楽でなく、岩質が荒い花崗岩のルートでの使用や懸垂下降を多用したロープは、さら
に耐用年数が短くなります。
4.カラビナ {変形D型のストレートゲートを15ケ}コングやDMM ◎
1形 変形D型カラビナが主流で、ゲートが大きく開くのが特徴です。ゲート部分がワイヤーのものは、より広くゲートが開き、冬期にも凍らないというのが特徴で、強度も従来のものと変わりなく、軽量になりました。ゲートが曲がったベントゲートのものは、ロープをクリップ(かける)しやすいのが特徴ですが、逆にロープの流れによって、墜落時にロープによってゲートが開き、ロープがはずれてしまうことがあるため、細心の注意が必要です。アルパインクライミングではストレートゲートのほうがよいでしょう。
2大きさ 大小様々なものがありますが、小さいものでも強度は充分にありますので、アルパインクライミングでも使用可能です。多くの荷物を背負って登るアルパインクライミングこそ装備の軽量化を計ることが基本です。ただ、ツインロープでの使用で流れがやや悪くなり幅のあるスリングにかける時に、縦の向きになるよう注意して下さい。
5.安全環付カラビナ コングやDMM ◎
{変型D型大型のオートロック式2ケと変形D型中型のスクリュー 式3〜4ケ}
ゲート部分が開かないようロックできるのが安全環付カラビナです。安全環の部分がオ
ートロック式のものとネジタイプのスクリュー式のものがあります。スクリュー式のも
ののほうが軽量ですが、安全環の閉め忘れが起きる可能性があります。充分に注意して
使用しましょう。
形で分類すると梨型の大きめのH.M.S と呼ばれるものは、トップロープのセットに適し
ています。変型D型の大きめのタイプは、確保器具を使ったパートナーの確保に適して
いますが、トップロープのセットにも使えます。変型D型のタイプは、8環での懸垂下
降時やロープやスリングの連結などに適しています。
※カラビナの強度の表示
カラビナに20.0KNとなどと刻印されていますが、これは静荷重で約2000kg
に耐えられるという意味です。ただし、これは縦の方向で、かつゲートが閉まっている
場合でのことですので、使い方に注意しましょう。
6.確保器・下降器 ◎必要なものをお知らせください。
18環型 コング、カンプなど {9〜11mm対応のもの}
主に懸垂下降するときの下降器として使われます。以前は小さいほうの穴でシングルロ
ープの確保器具として使われていましたが、最近ではメーカーによって形が違い、使用
できないものもあります。
下降器以外にトップロープの確保、特に9mm前後のロープの際に有効です。ATCを
代表とするバケツ型の確保器での9mmトップロープの確保は、より腕力が必要です。
また8環にも大小があり、8〜10mm、9〜12mm対応などがあり大きさが異なります。
表示を確かめて購入してください。8〜10mm対応の8環では、11mmのダブルロープでの使用と懸垂下降などができません。
2バケツ型 {ブラックダイヤモンド社の新型ATC、コングのチュイなど}
ブラックダイヤモンド社のATCを代表とするバケツ型の確保器は、リードするパート
ナーの確保に優れています。特に初心者でも簡単な操作で墜落を止められます。また、
ロープの出し入れもスムーズで、器具でロープをロックしません。下降器としても使用
できますが、熱や摩擦に対する耐久性では、8環のほうが優れています。
4プレート型 {コング社のジジがお勧め}
セカンドやサードの確保として、優れているのがコング社のジジで、2本のロープを別
々に引き上げられるので、後続が2人いた場合でも2人いっぺんに引き上げることがで
きます。また、1本ずつ別々にロックでき、手を離していても自動ロックしてくれると
いう利点もあります。初心者でも間違いなく確保できるので安心して使えますので、後
続が2人に限らず、1人の場合でもお勧めします。また、下降器としても優れており、
さらに登行器としても使用できます。ペッツェルのルベルソーは1台2役で便利です。
7.スリング ◎必要なものをお知らせください。
★テープスリング=オープン(ソーン)スリング
12〜15mm幅以下を60cm×5本、120cm×2本(ダイニーマまたはスペクトラ製)
★肩掛け用自作テープ 19mm×1m50cm×2本(切り売り)
★ロープスリング=7mm×2m×2本(切り売り)
あらかじめ縫い合わせて市販されているテープスリングのことをオープン(ソーン)
スリングと呼びます。スリングの強度は結び目の部分が弱いので、同じ幅のものなら自
作のものより強度があります。最近は軽量ナイロンで作られ強度のあるスペクトラ(ダイニーマ)と呼ばれるものが市販されています。幅15mmで静荷重で約2400kgの強
度があり、約30%軽量です。ただ、すべりやすいので自作することはできません。
8.エキスプレス(ヌンチャク用)スリング {長さ20cm前後×2本} ◎
スポーツクライミングなどで使われているヌンチャク用のスリングは、中央を縫い合わ
せてあるものとないものがあります。縫い合わせてあるものはエキスプレススリングと
呼ばれています。アルパインクライミングでも20cm前後のものを一人5本必要です。
9.ヘルメット (冬も使用する場合は調節できるもの) ◎
10. チョークとバック (バックを腰に下げるテープも必要です) ◎
11.
その他
1ハーケン {薄手、中厚(ウェーブ)、アングル(小)}8,9月に必要です。
薄手、中厚、アングル(小)の3種類程度が必要です。
2ハンマーとホルスター (8,9月に必要です) ◎
4カムとナッツ(夏以降に必要ですがレンタルします)専科中級生は必要です
5ディージーチェーン (必要です) ◎
懸垂下降時のセルフビレイ(自己確保)用に有効で、長さを小まめに調節できます。
6アブミ ★不要です(必要時にレンタルします)中級で必要になります
7フィフィ ★不要です。 中級で必要になります
人工登攀のオーバーハングの乗越しの際に、腕力の消耗を防ぐために、ハーネスに付け
て体重を支点に分散させるために使います。アブミの先端に付けて回収をスピーディに
行ったり、単独登攀の際のザックの回収にも使われます。
★一般装備で注意するもの
・ アプローチシューズ くるぶしが隠れるナイロン製の軽いアプローチシューズ。ビブラム底。
岩稜や岩場にお勧めは、ガルモントGTX
・ウエア 長袖、長ズボンで動きやすい化繊のもの。薄いフリースは必需品。
・雨具 ゴアテックスなどの素材で、セパレート式のもの。
・シュラフ 夏〜3季用(羽毛量4〜600g)小川山などで使います。マットも。
・自炊用具 コンロ(小型の軽いもの)、ガス、コッヘル、箸など。
★食事 昼食は火を通さなくとも食べられるもの。小川山での朝夕食は各自で自炊で
すが、夕方の講習もありますので、手間のかからないものが良いでしょう。